総長選（決選投票）にあたって

私はこれまで役職上において極めて関係の深い教員が候補者となっていたため、総長選挙に関する発言は控えてきました。選挙の結果、当該教員ではない二名による再投票（決選投票）となりましたので、決選投票にあたり、私自身の立場を明確にしたいと思います。

私自身が、この10年ほど教務主任、学術院長、理事等の職にあったこともあり、島田氏（学生部長→理事→副総長）、田中氏（教務部長→理事→GEC所長）とは様々な場面で一緒に仕事をしてきました。厳しく対峙したこともありますし、ともに一つのことを成し遂げたこともあります。両氏の人柄、能力、手法などについても私なりに一定の把握ができているつもりです。

今回の両氏の選挙活動は対照的です。さすがに選挙や政治を専門とする田中氏は小集会やツイッターを駆使した今風の活動をしています。一方、法学が専門である島田氏は現任の副総長ということもあってか慎重な活動を行っており、ツイッター等Webでの発信もありませんでした。今回は大きな選挙制度改革があり、学外の商議員も投票権を持つ初めての総長選となったため、選挙活動の方法にも様々な形が考えられ、それぞれが選択した方法で活動しているのだと思います。

私は、両氏の主張は公式な声明であるMyWaseda上の選挙文書やオンデマンド演説にこそ明確に表れていると考え、あらためて選挙文書（複数の文書があり、それぞれ分量もあります）をじっくり読み、またオンデマンド演説をじっくり視聴しました。さらに、この10年間の経験から私自身が把握した両氏の人柄、能力、手法などの評価も踏まえ、熟慮した結果、今回の決選投票では島田氏に投票することに決めました。

今回の選挙については、候補者も含めた個人レベルでのWeb上の発信や諸メディアによる記事も多くあります。しかし残念ながら、総長選をめぐる発言や記事には明らかに誤ったものや真偽の定かでないものが少なくありません。ファクト／フェイクの問題は今回の総長選でも避けられなかったようです。

投票にあたっては瞬間的な情報に惑わされることなく、両氏の公式な声明を熟読、視聴した上でそれぞれが判断していただけたらと思います。また、両氏は今後も集会を開催し皆さんと対話する機会を設けていますから、疑問点等は直接その場で投げかけ、確認することもできます。

多くの大学が選挙によらない総長選出方法を選択する中で、早稲田大学はあえて選挙による総長選出のプロセスを維持、充実させる方向を選びました。それは、大学を民主的なものとして持続、発展させるためでもあります。

今回の総長選はその試金石です。一人一人が自分自身でじっくり考え、自分自身が選んだ候補者に一票を投じてくださることを切に願っています。